1輪のカーネーションを贈るだけの人も、温泉旅行をプレゼントする人も、年に1度、母親に感謝の意をストレートに伝えられる、それが母の日。今年は5月12日(日)に迫っています。ネットで慌ててギフトを探す人が多いタイミングです。
コロナ禍で加速したネット通販はもちろん好調で、例えば「楽天市場」における2023年母の日関連商品の流通額は前年比で14%も伸長しました。定番の花やスイーツに加えて、スープなどの洋風惣菜や、マッサージ器具などの美容・健康家電といった、母親が喜びそうな様々なギフトがネットで選べる時代です。
このような状況も今年は少し変化が見られており、「母の日.me」「父の日.jp」など、ECサイトの企画運営を行うGroov(グルーヴ)が実施した「母の日のプレゼントに対する意識やトレンド変化の調査」によれば、ネットで購入するユーザーが最も多いものの、実店舗でギフトを選ぶ人がここ数年でまた増加してきているそうです。
※出典:Groovが運営するサイト「⺟の⽇.me」( https://hahanohi.me/ )
食べチョクでは、ユニークなプロジェクトが始動
自分の好きな農家や漁師が選べて旬の食材が直送される「オンライン直売所」として知られている「食べチョク」は、生産者と直接メッセージのやりとりができることや、市場に出回らない珍しい食材や限定の商品など60,000点以上の商品がサイト上に出品されています。
また生産者が自身で値付けできる仕組みで生産者への還元率も高いことが特長。
ユーザーは新鮮な食材を手に入れることで生産者を応援し、生産者には適切な収益が還元されます。
同社は今年、生産者だけではなく食事を作る人にもスポットをあてた「”おいしい”をありがとうプロジェクト」を立ち上げました。
キーワードは「#思い出ごはん」。
誰もが両親や祖父母、近所のおばさんなど、身近な人に料理を作ってもらった経験があり、そこには思い出がセットになっているもの。その“思い出”に注目し、母の日に恩返ししようというのがこのプロジェクトで、父の日・敬老の日と半年にわたり取り組むのだそう。
ちなみに筆者の実家では、日曜は必ず父が家族4人分の朝食を用意してくれていました。卵焼き、ウィンナー、漬物、ご飯、そして豚汁と、毎回変わらない献立で食卓を囲んでいたことを思い出します。これが「#思い出ごはん」であり、いつかまたそんな朝がきた時には父に感謝の気持ちを伝えたいと願ってしまう、これが「”おいしい”をありがとうプロジェクト」なのでしょう。
特集ページ(https://www.tabechoku.com/ulp/mothersday/)では、母との思い出ごはんで思い浮かぶ食材名、母の日の過ごし方、ご当地食材などから、相応しいギフトを探すことができます。
このプロジェクトについて、同社で企画を担当する、土井花野さんに話を聞きました。
――プロジェクトをはじめたきっかけは?
これまで生産者さんのこだわりが正当に評価される世界を目指してきました。作り手ひとりひとりの声を丁寧に拾い上げ、生産者自身が売価を決められるオンライン直売所を大切に作ってきました。2024年2月、食べチョク会員が100万人を突破し、ユーザーの皆さんが購入した食材をどのように召し上がられているのか調べたら、私達も想像していなかった、家族を繋ぐ役割を果たしていることが分かったのです。
例えば、夜中に高齢の父親と2人で生牡蠣をポン酢で食べて楽しみを共有しているとか、高齢の母が好きな柑橘を箱買いしてお母様の毎日の楽しみの時間にしてもらっている、とか。
Z世代の男性は、家族が好きなりんごを箱買いし、家族そろってコタツを囲んで食べる、八朔を食べようとしたら家族が自然と集まってきて、まるでジェットコースターのように一瞬で無くなってしまってた、とか。そんなエピソードをうかがっているうちに、美味しいものを食べることは秘めたパワーをもっているのではないか、家族と食卓を囲むことで絆が育まれるということに改めて気がついたのです。美味しいものを一緒に食べるという積み重ねが、家族の思い出を作っていると、確信しました。
――土井さん自身の「思い出ごはん」はありますか?
私には7歳と3歳の子供がいますが、子供が生まれる前、仕事に邁進していた頃は”母の味”など思い出しもしませんでした(笑)。今は子供のために毎日食事の準備をしていると、ふと、昔、弟たちとよく食べた思い出のメニューを作っていたりします。日曜日の朝のホットケーキとか、お弁当のタコさんウィンナーとか。母の味つけや食の習慣というのは、引き継がれていくのですね。70代の母がいつまで元気に食べられるか分からないと思うと、元気なうちに“母のレシピ”を教えてもらわなくちゃ、と思います。
母は、春になると桜の葉っぱを塩漬けにした「桜葉」を刻んで入れたクッキーを焼いてくれていました。ほんのり桜の香りがしてあましょっぱいそれを我が家では「サクラバ」と呼んでいました。春になると思い出す、我が家の定番レシピ、これは母が健在なうちに教えてもらうつもりです。
――プロジェクトの反響は?
Xで思い出の味を募集していて、「#実家飯」とつけた投稿が多く届いており、反響を感じます。高齢な親をもつ方々のグッと来るようなエピソードもあります。まだ親が元気で若い人たちは自虐的な投稿もありますが、あと10年もすれば、センチメンタルになるかもしれませんね。
※参考X:https://twitter.com/tabechoku/status/1778249496218280251
今回の特集ページでは、「思い出ごはん」を思い出していただきやすいように、キーワードやお母さんの好きな食材で検索できたり、出身地などの地域検索ができるようになっています。
※参考X:https://twitter.com/tabechoku/status/1780886029479911845
―― 食べチョクの今後の展望を教えてください。
食べチョクは、生産者だけでなく、購入側、料理の作り手や食べ手の方々がお使いいただきやすいような場づくりにも力を入れています。生産者さんがこだわって育てた食材を通じて、消費者の皆さんの日々の食卓が豊かになるように、より一層食べチョクという場を進化させていきます。それが、生産者さんにも還ることになると信じています。そして、日本の農家さんや漁師さんを断絶させないのと同じように、日本の料理の作り手たちが育んできた、日本の家庭の味や食の知恵を、守っていきたいと考えています。
ギフトは、目に見えるものだけではありません。母が喜ぶギフトは、感謝の気持ちを伝えたり、思い出を語り合うだけでも、じゅうぶんなのかもしれません。
母の日だけでなく、父の日や敬老の日も「思い出ごはん」をキーワードにギフトを選ぶ人が今後どれほど増えていくのか注目です。