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日本にある水道管の約5分の1、地球4周分の水道管が寿命を過ぎていた 私たちへの影響はどうなる?

生活になくてはならない「水」。
実は今、「水」を届ける「水道管」が大きな問題を抱えている。
日本国内の水道管の法定耐用年数は40年と定められているが、​管路の総延長約74万キロのうち、40年以上使い続けている水道管、つまり寿命を超えている水道管が約15万キロメートル存在する。これは地球約4周分に相当する。多くの水道管は1960~1970年に作られているため、寿命切れの水道管は今後も続々と増えていく見込みだ。

 

耐震性を満たしていない水道管が約半分
自然災害に適応する対策が急務

水道管の老朽化が進むと、自然災害の多い日本では被害の拡大が懸念される。水道管の耐震適合率は全国平均で約4割。主要な水道管のうち、 耐震性を満たしていない水道管が半分以上​を占めている。
平成23年東北地方太平洋沖地震では約257万戸、平成28年熊本地震では約44万6千戸が断水するなど水道施設が大きな被害を受けた。令和6年1月1日に発生した能登半島地震でも、水道インフラは大きな被害を受け、地震の大きさだけでなくそもそもの水道管耐震化率の低さも要因になっていたとされる。

早急な耐震化が求められるが、交換には多額の費用や時間がかかるため、全てを交換するには140年かかるという試算もある。自治体が対応に追われているが、少子高齢化・人口減少、財政にも限られているため、対応は厳しく早期解決は難しい。そのため、全てを交換できる可能性はゼロに等しい。

 

水道料金の値上がりは必須なのか

生活者への影響として、財源を確保するためには水道料金の値上げが懸念され、全国的に水道料金の値上げに踏み切る自治体も多い。調査では、2043年度までに水道料金の値上げが必要になる事業体数は全体の約94.3%、さらにこれらのうち全体の約5割を占める648事業体において、30%以上の値上げが必要と推測されている、地域ごとの水道料金単価の格差は24.9倍に広がるとも試算される、電気料金の値上がりが続くいま、さらなる家計への影響の大きさも見逃せない。

こうした中、京都の「ウォーターハブブランド」の「WACOMS(ワコムス)」が、水道管の実態を伝えるため、『水道 40(よんまる)問題』として、啓蒙や解消に向けて様々な活動を行っていくと発表した。
ウォーターハブとは、“浄水するだけじゃない”付加機能を持った水と生活者の新たな接点のこと。生活者の暮らしと今ある水道インフラを結びつけ、持続的に水資源およびインフラを循環していくために、従来型の塩素浄水システムだけでなく、時代に即した必要な機能を併せた水との接点を提供していく。

水道 40問題:https://www.suidou40.jp/

まず、行われたのが、全国の20 代以上男女 1,126 名を対象にした調査だ。調査では、「水道管の老朽化」について、全体の約 8 割が対応状況を「知らない」、一方で若い年代ほど知っている傾向が明らかになった。

WACOMS「水道40問題」

 

2040 年頃に水道管の更新投資のピークを迎えるという試算があるなかで、生活者へ「水道財政悪化」の時期を尋ねた結果、全体の 59.4%の人が試算よりも遅い「2050 年以降」、あるいは「あてはまるものはない/わからない」と回答。

今後 15 年程度の間にますます管理がしきれなくなり、水道水の品質悪化や災害時の被害拡大に関わるリスクを抱えているにも関わらず、遠い将来の話であると思っている人や、課題として認識していない人が多い実情が浮き彫りとなった。

WACOMS「水道40問題」

 

「自然災害時の水不足への備え」については、約半数にあたる 45.0%が「対策を行っていない」と回答しており、個人レベルでの対策はまだまだ進んでいない実態が明らかとなった。今後さらに水道管の老朽化が進み、耐震適合基準を満たさない水道管が大半を占めていく可能性もあるが、水道管の更新・耐震化の目処が立たない状況では、個人での対策については、より啓蒙していく必要があることがわかった。

WACOMS「水道40問題」

 

水道管の補修には新たな素材の導入や、AIにより老朽化している箇所の可視化を行い効率的な工事を行うなど、自治体・企業が連携してあらゆる対策が講じられている。
私たちは水道管を補修することはできないが、その実態を正確に知ること、将来的なリスクに備えることはできる。自分の自治体の水道料金値上げの可能性を調べておくことで家計への影響を把握することや、災害への準備は当然整えておく必要がある。
農林水産省によれば、災害時、湯せん、食品や食器を洗ったりする水は含めず、飲料用と調理用だけで一人当たり1日3リットルの水が必要としている。時間が経てばより水道管は老朽化が進むだけに、より多くの水を貯蓄しておく必要があるだろう。

「水」を考える一つのきっかけとなる『水道 40問題』では、様々な活動を行っていく。今後の動きにも注目していきたい。

※本件の出典は WACOMS より