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眠っている蔵を宿泊施設にリノベーション
日本各地に「泊まれる蔵」を

株式会社エンジョイワークスは、株式会社電通などと連携して、全国の各地域で眠っている蔵を一棟貸しの宿泊施設にリノベーションするプロジェクト「The Bath & Bed Team(バスアンドベッドチーム/BBT)」を展開しています。

「BBT」は、さまざまな分野の方と一緒になって「泊まれる蔵」を盛り上げ、広げていくためのチーム

同事業は、鉄道会社、広告代理店、まちづくり会社、飲食関連、旅行会社といった企業に加え、蔵のオーナー、運営事業者、投資家など、さまざまな形で関わることのできる「チーム」で展開しているのが特徴。2018年に神奈川県葉山町で第1号となる「The Bath & Bed Hayama(バスアンドベッドハヤマ)」を開業以降、現在5棟が稼働しています。

今回、このプロジェクトを全国により広く展開するために、9月4日(水)に東京駅直結のポットラック ヤエスで「The Bath & Bed Teamサミット(BBTサミット)」を開催されました。イベントでは、BBTの今後の事業イメージやブランド化の展開のほか、現在稼働している蔵のオーナーや事業者、宿泊体験者・投資家なども登壇。また、「泊まれる蔵」を大学の授業として今年度から採用している国立大学法人金沢大学の担当教授が、観光コンテンツとしての視点についての講演も行いました。

蔵に泊まる、まちと繋がる――The Bath & Bedとは?

「蔵」は日本の気候になじんだ、古くからある建物文化のひとつ。防湿・防火性が高く、農作物や発酵食品の貯蔵庫、家財道具の保管庫として活用されてきました。しかし、現代では「倉庫」としての役割を終えて使い道がなく、解体される蔵も少なくないと言われます。そんな蔵を再生して「泊まれる蔵」にする全国展開プロジェクトが「The Bath & Bed Team(BBT)」です。

第1号は、エンジョイワークスの拠点でもある神奈川県葉山町の「The Bath & Bed Hayama」。高い天井、外と遮る厚い壁。“落ち着ける、守られている安心感のある空間=大切な時間を過ごす場所――”といったコンセプトを地域の方たちとワークショップで作り上げ、大きなお風呂(Bath)とベッド(Bed)のみの宿泊施設として、2018年に開業されました。2023年冬には、富山県立山町、長野県小布施町・佐久穂町、2024年6月には愛媛県松山市(道後)にもオープン。これに続き、栃木県鹿沼市でも開業を控えており、いずれの稼働施設も、国内旅行者だけでなくインバウンド観光客からも注目されています。また、農業体験など各蔵で独自のアクティビティも用意されているとのことです。

全国展開中の「泊まれる蔵」。蔵の頑丈な扉を開くと、リラックス空間が広がる

「The Bath & Bed Team(BBT)」は、「2025年まで全国に100棟」を目指して、2022年に立ち上げたプロジェクトです。現在では「使っていない蔵を活用させたい」という要望や相談、問い合わせも多く集まっているそうで、今後は福井県越前市、富山県南砺市、新潟県長岡市、兵庫県明石市、和歌山県紀の川市、石川県金沢市などでプロジェクトが控えています。

また、BBTは全国の蔵オーナー、リノベーションを手掛ける工務店などだけでなく、一般の方も事業の「投資家」として参加できるといいます。さまざまなBBTメンバーと手を携えて、遊休不動産の活用と地域活性化、さらにはまちづくり人材・観光人材の育成につなげていくとのことです。

「The Bath & Bed Hayama」外観(左は事業前、右は現在)
2024年6月に開業した「The bath & bed Dogo」。棟木(むねぎ)に書かれていた上棟日は、大正3年4月5日。古くて新しい空間で旅の時間をゆったり楽しめる