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大阪府阪南市の橘農園
地元特産品を活かしたクラフトビール開発

ミニトマトといちごを使ったクラフトビール

大阪府阪南市の橘農園が「阪南市まちおこしプロジェクト」の一環として、栽培期間中農薬を使用せずに育てたミニトマトといちごを使ったクラフトビールを開発しました。

リコピン含有量が通常の約4倍といわれる高品質なトマトビールと、甘みと酸味のバランスが絶妙ないちごビールは、どちらも爽やかな飲み口とフルーティーな味わいが特長です。

「阪南市まちおこしプロジェクト」とは?

共感してもらえる企業等と連携して阪南市を盛り上げる活動であり、共創チャレンジしていくプロジェクト。阪南市のまちおこしプロジェクトの一環として誕生したこのクラフトビールは、2025年大阪関西万博に向けて世界へ発信することを目指しています。

脱サラして農家の道へ

橘農園 株式会社太陽代表取締役社長:橘 大三郎さん

橘農園(株式会社太陽)の代表取締役社長である橘 大三郎さんは、26年前に脱サラをしてから、環境問題にとても興味が湧いたといいます。調べていく中で、日本の農業の自給率が低いことを知り、「私になんとかできないか」という思いから、農業をはじめました。

「どうせはじめるなら、拘った農法を使いたい」と、セミナーや勉強会などに参加し、当時はあまり知られていなかった水耕栽培の一つである「養液栽培農法」に興味をもったそうです。

養液栽培農法
橘農園で作られたトマト

「養液栽培農法」とは

「養液栽培農法」とは、土を使わずに肥料を水に溶かした液(培養液)によって作物を栽培する栽培法です。水に栄養分を入れるため、作物は栄養をすべて吸収できるため、無駄がなく生産でき、さらに小さい面積で沢山とれるためエコになります。

さらに、「スマート農業」と言われる先端技術を活用し、ハウス内の温度、湿度、日照、二酸化炭素濃度等のデータをパソコンやスマホで総合的に診断して、最適な環境を設定できるようになっています。

パソコンやスマホで最適な環境を設定
最適な環境を設定できる環境制御モニター制御装置を設置

納得のいく品質のトマトを作るため、ハウス内の環境整備にこだわりを持って取り組んでいます。そのため、品質の高いトマトを安定的に栽培することに成功しました。

上記は日本の農業課題の一つである「効率化」と「安定供給」に対する解決策として、とても理にかなっていると考えているそうです。

・環境負荷の低減(エコ)
・先端技術の活用による最適管理
・安定した高品質の生産

こうした技術を活用することで、日本の農業が抱える「生産性の低さ」「人手不足」「気候変動による影響」といった課題に対して、一つの解決策を示すことができます。特に、日本の農業は「高品質でブランド力のある作物を作る」ことが強みなので、この取り組みは今後さらに注目されると考えているとのことです。

地元・阪南市の特産品にしたい

橘 大三郎さんは、これまで農業を通じて「食の可能性」を広げる挑戦を続けてきました。「自分が育てた農作物をもっと多くの人に楽しんでもらいたい。地元の特産品を活かして新たな価値を生み出したい」との思いから、今回のビール開発を決意。そんな中、阪南市の観光課や市長、KIX泉州ツーリズムビューローから「地元の特産品を活かした商品を作れないか」との相談を受け、農業者として新たな挑戦をすることに。開発にあたっては、東大阪市のクラフトビールメーカー「瓢箪山ビール」とタッグを組みました。

瓢箪山ビールは、地元産の原料を活かした独自の醸造技術を持ち、数々の個性的なクラフトビールを生み出していることで知られています。今回のビールは、瓢箪山ビールの醸造技術と橘農園の高品質なトマトといちごを掛け合わせることで、これまでにない味わいを実現しました。

「瓢箪山ビール」とタッグを組み製造

リコピン含有量が通常の約4倍!こだわりの製法と味わい

橘農園のトマトは、先述で紹介した「養液栽培農法」により、リコピン含有量が通常の約4倍に達します。さらに、光合成細菌を活用した独自のバクテリア農法によって、甘みとコクが増した味わい深いトマトが生産されています。

そして、伐採やメンテナンスをしている間に、イチゴ狩りが流行っているという噂を耳にし、「イチゴ狩りなら沢山の方が農園に訪れてくれて、面白そうだ。どうせなら農薬を使わない美味しいイチゴを作りたい」と考え、3年前から開発をスタート。土と水と空気、つまり環境にこだわった甘みたっぷりのいちごを農薬不使用(栽培期間中)で楽しむことができます。

リコピンが約4倍の甘いトマト
農薬を使っていない美味しいイチゴ

この高品質なトマトといちごを贅沢に使用し、ビール醸造の専門家と共同開発。ホップの苦みとトマトの旨みが調和し、奥深い味わいを楽しめる『STAR NIGHT』。そして、ビールのコクやホップの香りと、いちごのフルーティーさが絶妙にマッチする『KAREN』が誕生しました。

数年前までは珍しかったクラフトビールのノンアルコールビールは、最近世界的に増えてきています。ですが、日本のクラフトブルワリーでもノンアルコールビールを手掛けるところが増えてきた一方、まだ一般的ではなく、珍しい部類に入ると言えます。特に、小規模ブルワリーで本格的なノンアルを作っているところは少ないため、本製品のノンアルコールもおすすめとのことです。

(左)いちごクラフトビールとノンアルコールビール
(右)トマトクラフトビールとノンアルコールビール

目指すのは地元発の世界的ブランド

橘農園は関西国際空港のすぐ近くに位置し、2025年に開催される大阪万博を見据えて、国内外の人々にこのクラフトビールを届けたいと考えています。瓢箪山ビールは、アルコールとノンアル合わせた1200本を製作する予定で、売上は100万円前後を見込んでいます。また、現在4本セット4,500円で、CAMPFIREにて先行販売を実施中。今後は阪南市の道の駅などでも販売予定とのことです。

すでにタイやベトナム、インドネシアなど海外からの来園者も増えており、日本の農業の魅力を世界に発信する機会となることを期待しています。

トマトクラフトビール

クラフトビール購入ページ:https://camp-fire.jp/projects/view/811866
販売終了:2025年4月30日(水)23:59迄
商品発送予定:2025年5月末~6月頭頃

橘農園 HP:https://tachibana-nouen.com/

瓢箪山ビール HP:https://hyoutan-yama-beer.com/